「本切羽」はオーダースーツの醍醐味・・・その由来をお伝えします
「ジャケットの袖口にはボタンを外せるものと外せないものがありますが、
その違いって何なんでしょうか??」
ブログをご覧をいただきまして、誠にありがとうございます。
長野市中御所のテーラー〖GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)〗のヤマギワです。
ジャケットの袖口について、(大して必要性も感じないのに)どうしてボタンが付いているのか?というお話は以前のブログ
でもお話させていただきました。では、この袖口のボタンが外せるものと外せないものが存在するのは何故でしょう。
袖口のボタンが外せる仕様のことを「本切羽」とか「本開き」などという呼び方をしますが、既製服の多くは「開き見せ」(袖口が開かない仕様)であることから、オーダーメイドの象徴として本切羽を施されるお客さまは少なくありません。袖口のボタンは元来「飾り」でしかなかったもので、もともと外せなかったであろうボタンが何故外せるようになったのか??
実は・・・
本切羽は英語でSurgeon’s Cuffs(外科医・軍医の袖口)と呼ばれており、医師が診察や治療の際にジャケットを脱ぐことなく、腕まくりをするためにボタンホールを開けたことに由来すると言われています。その昔、シャツは下着と考えられており、患者の前でジャケットを脱ぐことはあり得なかったということから、実用性を考えて考案された仕様と言えるでしょう。
ジェントルブリーズと店舗スペースをシェアするジュエリー工房アステリズムの吉田氏にも、以前ジャケットを誂えてもらいました。彼は接客をする際にはジャケットを着用していますが、ジュエリー制作中はジャケットの替わりにエプロンを着用しています。しかしながら、時には接客しながらネックレスのチェーンを直す等の作業をすることもあり、都度ジャケットを着脱することがないよう「腕まくりしやすいように本切羽で」という要望を受けました。袖口の開閉は、ファッションとしての捉え方も当然アリですが、用途や着用場面を考慮しつつご自身の使い勝手が良いようにオーダーできるのも「注文服」ならではの醍醐味ですね♪
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