第2講 イタリア・イギリス・アメリカ・・・各国の特徴的スーツ事情
「スーツのディテール(仕様)でイタリア的・イギリス的・アメリカ的って言うけど何が違うの?」
前回はイタリア編でしたが、その第2回目・・・
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長野市のビスポークテーラー・GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)/ヤマギワです。
今回はイギリス編。
イギリスらしさを感じられるスーツというのは、イタリアのアンコン(アンコンストラクテッド=非構築的)とは反対に構築的でキチッとした印象を与えるディテールが用いられている、ということになります。
(以前ほど厚くありませんが)肩パットが入り、毛芯もしっかり入っているものが彼の国らしい仕立て。古くから毛織物産業が盛んであった国だけに、その生地はしっかりと織り込まれ、コシの強い風合いという特徴を持ちます(但し、現在は現代風にアレンジされたものも少なくありません)。色はくすんだ(渋めの)トーンが多く、色香漂うイタリアとは一線を画して鮮やかな明るい色は少なめ。柄はチェック柄に特徴があり、グレンチェックなどは英国の伝統的な柄のひとつとして、ウィンザー公が英国王子だった頃によく愛用していたために「プリンス・オブ・ウェールズ・チェック」とも呼ばれます。
特徴的なディテールとしては、スラントポケット(腰ポケットが斜めになっている)が英国的な雰囲気を助長する際に多様されます。これは馬に乗った時にポケットの中から物を取り出しやすいようにというアイディアから生まれたもの。
そして、チェンジポケット。このディテールも英国らしいデザインだと言われます。小銭を入れておくためのポケットですが、今では装飾的な意味合いが強いですね。
更には、サイドベンツ(背中にある2本の切れ込み)とピークドラペル(ラペルが上を向き尖った形状の襟)などもイギリススーツの代表的なもの。どちらも軍服から由来しているディテールになりますが、サイドベンツはサーベルを抜き差ししやすいように・ピークドラペルは行軍を行なう際に左右どちらから風が吹き込んでも対応できるように作られ、現代ではダブルブレストのジャケットに多様されています。
ではトラウザースはどうでしょう。
ベルトレスパンツというディテールがイギリス的。なぜなら、もともと採寸してオーダーするのが当たり前であったスーツは、ベルトをしなくてもぴったりウェストが収まるでしょう・・・という理屈。オーダースーツ文化が生まれた昔々のイギリスではトラウザースにベルトなどせず、どうしてもずり下がる場合はブレイシーズ(サスペンダー)を使ったわけです。
今日はこの辺で。
第3講はアメリカ編です。
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