第1講 イタリア・イギリス・アメリカ・・・各国の特徴的スーツ事情①
「スーツのディテール(仕様)でイタリア的・イギリス的・アメリカ的って言うけど何が違うの?」
お客さまからそんな質問をお受けすることもありますが、果たして・・・
ブログをご覧をいただきまして、誠にありがとうございます。
長野市のビスポークテーラー・GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)/ヤマギワです。
一言で申し上げると・・・
イタリア仕様は、しなやかな生地と柔らかな芯地を使った軽い着心地。
イギリス仕様は、しっかりと織り込まれた腰のある生地に芯地を入れ込んだ構築的な作り。
アメリカ仕様は、大量生産・大量消費を牽引した国らしく、実用性と合理性が特徴。
と言えるかも知れません。
全てお伝えしますと長文となりますので、今回は「イタリア」について。
ひと口に「イタリア仕様」と申しましたが、ミラノを中心とする北イタリアとナポリを中心とする南イタリアではスーツの仕様が少々異なります。北イタリアは国際都市/ミラノを中心として、どちらかというと癖のないスタンダードなスーツが主流。対して南イタリアは、職人が技術力を競い合い個性あふれる仕様が多く存在します。
イタリアらしい仕様の代表格は「バルカポケット」。「バルカ」とは「舟底」の意味で、ジャケットの胸ポケットが舟のようにカーブしている形状を言います。カーブしていることで胸のカーブに添っていて見た目が美しいというメリットもありますが、実際はナポリの縫製職人が腕前を自慢するために仕立てたことから始まった、という説が有力です。
また、ジャケットの袖口のボタンが開く「本切羽」もイタリア的な仕様の一つ。これもナポリの縫製職人同士の技術競争に由来すると言われ、イギリスの高級オーダースーツでも袖口のボタンを閉じたものも少なくありません(元々ジャケットの袖口にはボタンはなく、当然袖口が開くこともなかったため:過去ブログ参照)。
そして「アンコン」仕様。アンコンとは「アンコンストラクテッド(非構築的)」の略で、芯地やパッドを省いて仕立てたジャケットを指します。近年は肩パッドはほぼ使われなくなっていますが、ジャケットの肩部分を摘んでフワフワした副資材が入っていなければ、アンコン仕立てと思っていただいて良いでしょう。
イタリア的なスーツの仕様はまだまだありますが、今回は代表的なもののみをご紹介致しました。
但し、イタリア仕様でスーツを誂えたとしても、イタリアの匂いを醸し出すためには「着こなし」が重要になります。大人の色気と遊び心溢れる着こなし・・・テーパードシルエットのパンツをくるぶし丈で履き、靴は素足(ローカットソックス)で。
実にイタリア的かと思われます♪
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