生まれて初めてスーツを買った時のこと…覚えてますか?~父との思い出~
「成人式に着るスーツを息子に作ってやりたいのですが」
12月のある日曜日、お父さまはそうおっしゃってご子息と二人で来店されました。
ブログをご覧をいただきまして、誠にありがとうございます。
長野市のビスポークテーラー・GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)/ヤマギワです。
ご子息の成人式が1月8日の開催であったため12月中旬のオーダーでは納期に間に合わず、残念ながら承ることができなかったのですが、「立派に成長し・無事に成人を迎える晴れの門出に、父親として然るべきスーツを誂え祝福したい」という想いがひしひしと伝わり、ご要望にお応えでき兼ねたことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
それと同時に、自分自身が生まれて初めてスーツを購入した時の(今は亡き)父の気持ちはどんなものだったのだろうかと、ふと考えたのでした。
私が初めて購入したスーツは既製品でしたが、(ご来店いただいたお客さまと同様に)成人式用として用意したものでした。父親と一緒にお店へ出向いて買ったものではありませんでしたが、父から「スーツ代として」預かった数万円を握りしめ、何だか大人の真似事をしているようでむず痒く、慣れない買い物をした記憶が甦ります。
そしてスーツの何がしかも分からず、店員さんに勧められるままに(礼服とは異なる)ブラックスーツを購入。
それを父に見せ、同時に価格を伝えた時の感想は「吊るし(既製服のことです)にしては結構高いものだな」でした。
私の父はもともと洒落者で、クローゼットの中にはオーダーで誂えたのであろうスーツやジャケットが幾つか並んでいました。スーツを作らなくなったのは、恐らく私が生まれたことによって父自身よりも家庭や育児を優先し、お洒落に対する欲求を封印したからなのだと推察されます。そんな事もあり子供の頃の私の記憶では、父は洋服には無頓着な印象が強く、思春期を迎えてファッションに目覚めた頃には、むしろ「ダサい親父」として映っていたものです。
それだけに社会人となった後、初めて‶昔々に誂えたであろう服たち”が後生大事に収まった父のクローゼットを見た時、「自分のことはさて置き、家族のために尽くしてくれた」事実を突き付けられたようで、感謝の気持ちでいっぱいになったことを覚えています(その気持ちはとうとう言葉で伝えることはありませんでしたが)。
同時に、二十年から三十年前に仕立てたのであろう洋服の数々が、整然と父のクローゼットに保管されていたという事実は、決して自分が贅沢をすることなく・堅実且つ勤勉で真面目な父の性格を垣間見るようでした(服を大事にするということ以外は私とは正反対です 苦笑)。
今となっては私が初めてスーツを手にした時の父の気持ちを聞くことはできませんが、「成人とは名ばかりでまだまだ半人前」と思っていたのかも知れませんし、「吊るしならもっと安いスーツがあっただろうに」と思っていたのかもしれません(笑)
それでも・・・父からは一度も褒められた記憶がない私ではありましたが、好きな日本酒を嗜みながら(少しだけ)自分の子育てに満更でもない表情を浮かべていたようにも思えます。
私同様、初めてのスーツに纏わる思い出を持つ方は多いのではないでしょうか?
ジェントルブリーズではお役には立てなかったお父さまとご子息のご来店に触れ、私も久しぶりに「初めてのスーツ」のことなどを思い出し、思えば今の仕事をしているのも父の服好きという血を受け継いでいるのではないかと、思い返すことができました。
併せて私が生業としているのは、モノ(スーツなどのオーダー品)を通じてコト(思い出や夢の実現)をサポートさせていただいているのだとつくづく。
皆さんの「初めてのスーツ」に纏わる思い出なども、ぜひお聞かせ下さい♪
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