季節に応じてスーツを変える・・・寒い季節には寒い季節に、暖かい季節には温かい季節に相応しい生地があります
ブログをご覧をいただきまして、誠にありがとうございます。
長野市中御所のテーラー・GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)/ヤマギワです。
Ⅰ様が誂えたスーツが仕立て上がりました。
ワードローブを考慮する
Ⅰ様に当店でお仕立ていただくのは何着目になるでしょうか?
いつもご自身のワードローブを考慮され、「クローゼットの中にあるスーツで何が足りないか」を考えながらオーダーを頂戴致します。今回のご指定は・・・「冬生地のフランネル・チャコールグレーの無地・目付(1.5m×1m当たりの生地の重さ)400g以上」といった生地。実に明解で分かりやすいご所望です。
Ⅰ様とイメージを共有する目的で数種類のフランネル生地(カラーと目付が異なります)と、サキソニー生地(フランネルより起毛していない生地です)をご用意し、吟味していただきました。
こだわりを詰め込む
その上で選ばれた生地は、チャコールグレーで目付455gのフランネル。秋冬生地の特徴とも言える起毛した温かみのある素材感で、目付から言ってもそこそこの重厚感のあるものとなります。そこに付けられるのは、タグワ椰子という椰子の実の種を原料とした天然素材で併せて経年変化も愉しめるボタン。自然素材を用いることで寒い季節に温かみを感じられると共に、長く愛用していただく上で経年変化も愉しめる渾身の一着ということになりそうです。
「自分をどのように見せたいか」を意識する
そうして仕立て上がった一着は、今回Ⅰ様が掲げたクラシックスタイルを標榜するもの。これまで仕立てられたスーツとは異なる風情となりました。
まず特筆すべきは‟重厚感”でしょう。秋冬(特に冬)を意識されて誂えたスーツからはフランネルの起毛とチャコールグレーという色味に相まって、前述のナットボタンや幅を広く取ったラペルなどから醸成された‟重み”が感じられます。加えてチェンジポケットの設えやVゾーンが狭めのウェストコートから滲み出るクラシカルな雰囲気も、Ⅰ様ご自身が「自分をどのように見せたいか」をしっかり体現した仕上がりになっているものと推察します。
暑い季節に寒い季節の準備を粛々と
今回、Ⅰ様が来店されたのは10月初めのこと。ご存知の通り、今年は10月と言えどもまだまだ暑い日が続き、寒い季節のことを考えることなどできなかった方も多いのではないでしょうか。それでも、暑い時期から粛々と寒い季節の準備を進めるというのも『大人の嗜み』なのではないかと思います。まだまだ半袖Tシャツや短パンを穿いては暑さを嘆いている人々を尻目にフランネルと対峙する・・・素敵なことです。
「春・夏・真夏・秋・冬・真冬」を推奨いたします
そして、スーツを購入する際に多くの方がおっしゃることが「3シーズン着られるものを」というご希望・・・お気持ちは重々理解できます。3シーズンとは夏を除いた春秋冬の着られるスーツと言うことになりますが、「四季ごとにスーツを揃える」とは言わないまでも「秋冬・春(夏)」の2パターンは考慮していただけましたら幸いです。
また、近年「春と秋が短くなった」とも言われますが、同じウール素材(スイード・フランネル・サキソニー等)であっても糸の太さや目付によって着るべき季節は異なりますし、コットン・リネン素材やそれらとウールとの混紡による涼しさにも違いがありますので、欲を言えば「春・夏・真夏・秋・冬・真冬」の6パターンを頭の隅に置いていただくことを推奨致します。
季節を愉しみ・服を愉しむ
昨今は「衣替え」という言葉も季節の移ろいとの差を感じ、なかなか馴染めない状況となりつつありますし、四季というものを実感しにくくなってきていることも否めません。それでも(まだまだ)温暖な季節・暑い季節・そして寒い季節は必ずやって来て私たちの五感を愉しませてくれます。スーツやジャケット・トラウザーズなども季節に応じて愉しんでみてはいかがでしょうか。
Ⅰ様、この度のオーダーもありがとうございました。
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