親から子へ・・・社会人として巣立つご子息へ贈るオーダースーツ

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長野市中御所のテーラー・GENTLE BREEZE(ジェントルブリーズ)/ヤマギワです。

T様が誂えたスーツが仕立て上がりました。

「ビジネススーツ」を仕立てる・・・母の想い

この度仕立てられたのは「ビジネススーツ」と「礼服」。

大学を卒業され、10月1日に開催される内定式に向けて揃えられました。当然のことながら「ビジネススーツ」は内定式に袖を通すため。ちなみに就活は何を着ていらっしゃったのかとお聞きすると、‟お兄様のお下がり”を着ていらっしゃったとのこと。そうして就活を乗りきられたT様も素晴らしいのですが、お母様は肩幅の広い息子さんの背中を見ては(後ろ身頃の首の下にできる)「突き皺」が気になっていたそうです。

「大人の身支度」としての礼服

また、礼服は社会に巣立つ「大人の証として」親御さんからご子息へ贈られたという印象を強く感じました。社会に出ますと、結婚式や葬儀に立ち合うこともしばしば。そんな時に「大人としての身支度」ができていることは、世間的な信頼を得るためには最良の手段と言えます。学校を卒業したばかりの若い世代の方が「礼服」にまで気を配るかというとなかなか難しく、ご本人達の意識も‟一人前の社会人として身を立てること”で精一杯なケースがほとんど。そんな時に(若い世代に)気を配ることは大人の役割であり、そうしてこそ彼らは(大切な文化として)「大人の身支度」を継承していってくれるものと思われます。

「ディテール(仕様)」のこだわり

さて、普段はカジュアルな服装で過ごされているT様ですが、スーツの仕様(ディテール)に関してはこだわりをお持ち。腰ポケットはスラント(斜め)にし、ラペル等にはAMFステッチを施しました。グレーとベージュの中間で光りの入り方によってはオリーブカラーに見える美しい風合いの生地ですが、無地を選ばれたために少しだけ生地自体に表情が出るようAMFステッチを入れています。ビジネス着としては珍しい色味を放つ生地。それでも決して派手過ぎることはなくビジネスマンとして信頼を損なうことのない仕立て上がりとなりました。

そしてウェストコートを一緒に誂え、スリーピースに。

こちらも上衣の3つボタン段返りと合わせて、Vゾーンが落ち着いた印象になるように6つボタンの5つ掛け仕様。もちろん暑い季節に上衣を脱いでも、ワイシャツだけにならずにフォーマル感を担保できます。

ご納品・・・より長く着ていただくために

そうして迎えたご納品の日。

普段は都内にいらっしゃるT様は、ご納品のために帰省していただきました。なぜならしっかりとご試着をしていただき、私の目で不具合がないかしっかり確かめたいということなのですが、親御さんにも「成長されたご子息の姿」を見ていただく良い機会になったのではないかと思います。

その際に、スーツの着方やお手入れ方法及び保管方法などもお伝えし、より長く着ていただけるようにお話をさせていただいております。

大人の役割とは?

学校を卒業されて社会に出られる方の多くはスーツを着たことがないか、着たことはあったとしても‟着方”を知らないケースがほとんどだと推察します。カジュアルな服装には‟着方”などなく自由に愉しむことが大切だと、私も思います。ところが長い歴史を持つ紳士服(スーツ)には着方があり、大人たるもの(けっして高額でなくても)それに相応しい一着を所有必要があります。

そしてそれらをしっかりと次の世代に伝えていくことが、私達大人の役割なのではないでしょうか。世の中に出る子供に大人として伝えるべきことは沢山ありますし、服装よりも大切なことも多々ありますが、身支度についてもご一考いいただけましたら幸いです。

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